2019年度日商簿記検定3級試験範囲の変更

2019年度の日商簿記検定3級の試験範囲の変更についてまとめています。2019年2月の試験までは従前の範囲となりますが、3級から除外、移行される論点については出題可能性が低くなると考えられます。

全体的な変更

3級は個人商店を前提とした出題から株式会社を前提とした出題へ変更されます。これは株式会社会計の重要性が高いこと、2級以上では株式会社を前提としていることとの連続性を確保する等の観点から変更されました。したがって、個人商店を前提とした会計処理は範囲から除外されることになります。また、従来は12 月決算の出題がされていましたが、今後は株式会社で多く見られる3月決算の出題が基本となります。

3級から除外、移行される論点

・当座借越の期中処理の除外

期中取引の記帳に関する当座預金勘定と当座借越勘定の使い分けが除外されます。ただし決算において当座預金勘定の貸方残高を当座借越勘定もしくは借入金勘定へ振り替える処理が追加されます。

・自店発行の商品券の処理を1級へ移行

自店発行の商品券の処理は1級に移行されます。また、他店発行商品券については勘定科目が「他店商品券」から「受取商品券」に改められます。

・有価証券の売買を2級へ移行

・手形の裏書譲渡、割引を2級へ移行

・仕入および売上の値引を除外

・減価償却の直接法を2級へ移行

・所得税の会計処理を除外

従前の所得税の会計処理は個人商店における店主の事業所得に対する税金を対象としたものであり、今回の改定で株式会社を前提とした出題となることから除外されます。

・「消耗品棚卸」を「貯蔵品棚卸」 へ変更

実務を考慮し、一般的な消耗品はすべて購入時に費用処理し、資産計上を行わない方法に限定して出題することとされました。 また、郵便切手や収入印紙など換金性が高い資産は、実務でも資産計上を行うことがあるため、2級の「貯 蔵品」を3級の範囲へ移行し、決算において郵便切手や収入印紙などの未使用分を費用から貯蔵品へ振り 替える処理を出題範囲とするとされています。

・6桁精算表を範囲から除外

・繰越試算表を範囲から除外

3級に追加、移行される論点

・複数口座を開設している場合の管理が追加

・電子記録債権・電子記録債務を2級から3級 へ移行

・クレジット売掛金を2級から3級へ移行

・差入保証金を追加

・法定福利費を追加

・法人税・住民税・事業税を追加

・消費税(税抜方式)を2級から3級へ移行

・株式会社会計 (設立 、増資 、利益剰余金 、利益準備金 、その他利益剰余金、繰越利益剰余金 、剰余金の配当など)を追加

・固定資産台帳を追加

・決算整理後残高試算表を追加

・月次決算を2級から3級へ移行

詳細は日本商工会議所のホームページをご覧下さい。

平成31年(2019年)度以降の簿記検定試験出題区分表の改定等について