NPO法人会計基準について解説

NPO法人とは

特定非営利活動法人(NPO法人)とは、特定非営利活動促進法に基づき法人格を取得した法人のことをいいます。

特定非営利活動促進法(NPO法)は、特定非営利活動を行う団体に法人格を付与することで、 ボランティア活動などの特定非営利活動の健全な発展を促進することを目的として、1998年に施行された法律です。

 

NPO法人の会計

NPO法人の会計については、NPO法の施行当初は定められた基準がなく、各法人が独自に会計処理を行い、主に単式簿記に基づいた収支計算書が作成されている状況でした。その結果、公表されるNPO法人の会計報告は分かりづらく、法人間での比較も困難なものでした。

こういった状況ではNPO法人の活動に対する国民の理解が得られない懸念があったことから、NPO支援センターからなるNPO法人会計基準協議会を中心にNPO法人会計基準の策定がすすめられ、2010年に基準が公表されました。この基準は法律ではないので、強制力はないものの、現在では、NPO法人には基準に沿った形での会計報告が求められることになっています。

 

NPO法人会計基準

NPO法人会計基準では、複式簿記、発生主義を原則として、貸借対照表、活動計算書、注記からなる財務諸表の作成が求められています。活動計算書は企業会計でいうところの損益計算書に該当すると考えられるので、ほぼ企業会計に近いものといえます。

 

NPO法人会計基準の特徴

NPO法人会計基準はほぼ企業会計基準に近いですが、いくつか特徴的な会計処理もあります。

例えば、使途に制約のある寄付等を受領した場合の会計処理ですが、原則的には受け取った年度で収益に計上し、使途ごとにその増加額、減少額、期末残高を注記します。ただし、寄付等の重要性が高い場合には、貸借対照表の正味財産の部を指定正味財産と一般正味財産に区分して表示することとされています。重要性がある場合の処理は、公益法人会計基準に沿った処理であり厳密な処理といえますが、一般の財務諸表利用者にとっては難解であるということで、簡便的な処理が規定されていると考えられます。

また、NPO 法人はボランティアによる無償又は著しく低い価格での労力に支えられていることが特徴といえます。こういった役務の提供については、提供を受けた部分の金額を合理的に算定できる場合には、その内容を注記することができるとされ、また当該金額を外部資料等により客観的に把握できる場合には、注記に加えて活動計算書に計上することができるとされています。

まとめ

NPO法人会計基準は一定の基準を定めることで、NPO法人の会計処理に統一性を持たせたものと言えます。ただし、上記のように実務的な配慮からか、NPO法人では任意的な処理が認められているケースも多いことから、法人間の比較が困難となる可能性が残されている点が課題と言えるでしょう。

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