個別原価計算|原価計算の基礎(第2回)

個別原価計算

個別原価計算は、種類の異なる製品を個別的に生産する生産形態に適用されます。具体的には特殊な機械を受注生産するケースなどが該当します。

個別原価計算では製品単位で原価の集計を行います。仮にA、B、Cの3つの製品を製造している会社を想定してみます。前回6つに分類した費用は、最終的に3種類の製品のいずれかに配分されることになります。

費用 A製品
B製品
C製品

計算方法

実際に計算してみます。(数値は使わないので、計算のイメージだけです。)

まずは、A、B、Cと3つの製品を製造しているので、直接費にはそれぞれA、B、Cに関する費用が含まれています。したがって下記のように集計し直すことができます。

直接材料費 A直接費
直接労務費 B直接費
直接経費 C直接費

 

また、間接費については、各製品に関連付けられないので、一括して製造間接費とします。

間接材料費 製造間接費
間接労務費
間接経費

 

集計し直した費用について、直接費はそれぞれ関連する製品に賦課します。製造間接費は一定の基準で各製品に配賦します。

・A直接費 → Aに賦課

・B直接費 → Bに賦課

・C直接費 → Cに賦課

・製造間接費 → A、B、Cに配賦

これですべての原価がA、B、Cに配分されました。以上が個別原価計算の計算方法になります。

部門別個別原価計算

上記の計算では製造間接費を一定の基準で一括して配賦していました。しかし間接費には様々なものがあるので、そそれぞれ適切な基準で配賦したほうがより正確な原価計算が可能になります。

そこで、部門別個別原価計算では製造間接費を原価部門に集計し、それぞれ適切な配賦基準を用いて製品に配賦します。仮に加工部門と組立部門という製造部門があったとすると、一旦、製造間接費を各部門に集計し、それぞれの部門費を適切な基準によって各製品に配賦します。

製造間接費 加工部門 A製品
B製品
C製品
組立部門 A製品
B製品
C製品

 

※上記の例は製造部門のみですが、補助部門がある場合など、実際の計算はもっと複雑になります。

貸借対照表と損益計算書

A、B、C製品に配分された原価ですが、貸借対照表と損益計算書上ではどのように開示されるのか確認しておきたいと思います。

仮にA製品は完成して当期中に売却済み、B製品は完成したが未売却、C製品は未完成であったとします。すると、それぞれ以下のように開示されることになります。

A製品原価 → 損益計算書上の売上原価

B製品原価 → 貸借対照表上の棚卸資産(製品)

C製品原価 → 貸借対照表上の棚卸資産(仕掛品)

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