総合原価計算|原価計算の基礎(第3回)

単純総合原価計算

総合原価計算は、同種製品を反復連続的に生産する場合に適用される計算方法です。メーカーが既製品を大量生産するケースなどが該当します。

総合原価計算では同種製品を製造することになるため、個別原価計算のように種類の異なる製品へ費用を配分するとう手続きは行われません。ただし、同種製品であっても完成品と未完成品(仕掛品)ではかかった費用が異なるので、完成品と仕掛品への配分が行われます。

 

費用 完成品
仕掛品

 

費用の分類

計算方法を見ていきましょう。A製品を大量に製造している会社を考えます。

まずは費用を計算しやすいように分類します。個別原価計算では各製品の直接費と製造間接費に分けましたが、今回は1種類の製品製造していないので、直接費、間接費といった分類はしません。どういった分類をするかというと、直接材料費と加工費に分類します。

直接材料費 直接材料費
直接労務費 加工費
直接経費
間接材料費
間接労務費
間接経費

 

なぜこのような分類をするのかというと、両者は完成品と仕掛品への配分の仕方が異なるからです。

直接材料費となる原材料は通常は一定時点(作業工程の始点)で投入されます。とすると、完成品であれ仕掛品であれ、同じ量だけ材料が投入されているので、原価として配分する額は同じになります。

一方で加工費となる労務費や電力料などの経費は通常、作業の進ちょくに従って発生していきます。したがって進ちょく率の高い完成品の方が仕掛品よりも多くの原価が配分されることになります。

計算方法

費用の分類ができたので、完成品と仕掛品に配分していきます。費用の配分方法として総平均法で計算します。

仮に以下のような生産状況だったとします。(材料はすべて始点で投入)

・完成品 10個

・仕掛品 10個(進ちょく度50%)

・直接材料費 300

・間接材料費 300

直接材料費は以下のように配分されます。完成品、仕掛品ともに100個で材料は工程の始点で同じように投入されているので1:1で按分します。

直接材料費300 完成品150
仕掛品150

 

加工費は以下のように配分されます。仕掛品は進ちょく度が50%であることから、1個辺り完成品と比較して50%の加工費がかかっていると考えられます。したがって仕掛品の数量を100×50%の50個とみなして2:1で按分します。

加工費300 完成品200
仕掛品100

完成品の原価は150+200で350になります。製品1個当たりの原価は350÷10個で35になります。

 

 

 

 

 

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